4月から広がった特別教育。技師はゼロ時間、では隣で装置を触る人は
対応は不要です。念のため読んでおいてください。
主任・技師長は、施設として誰が対象になるかを決める作業が残ります。
公開時点の情報です
4月から、装置を触る人に受けさせる教育の対象が広がりました。前は撮る人だけ。いまは準備も点検も修理も、触るなら入ります。
技師は、何もしなくて大丈夫です。免許があるだけで4科目ぜんぶ省略できます。気にするとしたら、装置に触る技師以外の人がいるかどうか。そこは施設で決めることになります。
「電離則が変わったらしい」が回ってきたとき、慌てずに済みます。技師会も「特段の対応は不要」と出していますが、なぜ不要なのかまで言えると、ちょっと強い。
装置を触るなら、この4つ。ぜんぶで4時間半です。ここまでは職種の話ではありません。
日本診療放射線技師会から「労働安全衛生規則等改正省令の施行について」というお知らせが出ています。本文にはこう書いてあります。
これらは安全対策の強化および特別教育の拡充を目的とするものですが、医療現場においては特段の新たな対応は不要です。
結論としては、その通りです。ただ「不要」の理由は「医療は関係ないから」ではありません。関係はあるけれど、あなたが既に免除される側にいるから不要なのです。ここが分かっていると、話が回ってきたときに困りません。
何の教育が、誰に必要になったのか
今回の改正で、エックス線装置・ガンマ線照射装置の特別教育は、対象が「透過写真撮影業務」から「これらの装置を取り扱う業務全体」に広がりました。2026年4月1日から施行されています。
厚生労働省の通知は「取り扱う業務」をこう定義しています。
エックス線装置又はガンマ線照射装置の設置、準備、使用、点検、修理等の全般的な業務
つまり撮影そのものだけではありません。教育の中身は4科目で、合わせて4時間半です。
| 科目 | 時間 |
|---|---|
| 取り扱う業務に係る作業の方法に関する知識 | 1.5時間 |
| 装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 | 1.5時間 |
| 電離放射線の生体に与える影響 | 0.5時間 |
| 関係法令 | 1.0時間 |
技師は、4科目とも免除される
通知には、資格ごとに省略できる科目の表が載っています。診療放射線技師の行はこうです。
診療放射線技師 — 第1号から第4号(ただし第1号及び第2号については医療用の装置を取り扱う業務に関する場合に限り省略可能)
第1号から第4号は、上の表の4科目そのものです。医療用の装置を扱う限り、全部省略できる——これが「医療現場では特段の対応は不要」の中身です。
面白いのは、同じ表に医師・歯科医師・がん放射線療法看護認定看護師も載っていて、こちらは第1号から第3号までだという点です。差し引きで、関係法令の1時間だけが残ります。
そして、その表に載っていない職種があります。
「誰が取り扱っているか」は、施設ごとに違う
手術室で装置を操作するのが誰か。ポータブル撮影のときに何をどこまで手伝ってもらっているか。装置の点検にどの職種が立ち会っているか。これは施設によって本当に違います。
通知は、装置を取り扱わない人については明確です。管理区域に一時的に立ち入るだけで装置を取り扱う業務には従事しない人は、特別教育は要りません(雇入れ時の安全衛生教育などで、放射線の影響や危険性を周知することは求められます)。
分かりにくいのは、その中間です。表に載っていない職種が実際に装置を取り扱っている場合、通知は「当該者が当該業務に関し十分な知識及び技能を有していると認められる場合には、個別の実態に応じて判断することを妨げるものではない」としか言っていません。判断するのは施設です。
技師にとっての実務的な意味は、たぶんここにあります。自分の教育は要らない。でも「うちで装置に触っているのは誰と誰か」を一番よく知っているのは、この改正で唯一免除される側の人間です。
装置を触るなら、この4つ。ぜんぶで4時間半です。ここまでは職種の話ではありません。
資格で肩代わりできない人が、実際に装置を触っている場合です。たとえば看護師や臨床工学技士。通知は「十分な知識と技能があると認められるなら、施設ごとの実情で判断してよい」としか書いていなくて、どこからが「十分」なのかの線は引かれていません。労働基準監督署が実際にどう見るかも、確かめられていません。分かったら、この記事を更新します。
精神科の患者さんを何人かで押さえて、できるだけ短い時間で撮り切る。そういう場面があります。——これも、本当はグレーなんですけど。
ああいうとき、手慣れた看護師さんが寝台を自分で上げていたりする。曝射はさせません。そこは明らかにダメなので。でも台の上げ下げだって、装置を扱っていることには変わりないんですよね。
今回広がったのは、ちょうどそういうところです。「それはダメ」になったわけではなくて、そういう人にも施設が教育をしないといけない、という話。うちで誰が何を触っているのか、一度見てみてもいいのかもしれません。