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うちのCTは古かった。勉強しても、入っていない機能は使えない

公開 2026.08.17

部署が違っても、通じる話だと思います。

更新を決める側にも、現場から見えている景色として書いた回です

公開時点の情報です

装置が古くて、使いたいソフトが入っていない。技師の側ではどうにもできません。あれは気のせいではなかった、という話です。

先週の金曜、雨に降られました。

走っている途中で降ってきたので、公園の屋根がある場所に逃げ込んで、そこでノートパソコンを開きました。テーブルにヘルメットを裏返して置いて、その中にグローブとラテを放り込んで。しばらく仕事をして、雨が止んだので、近くの温泉に入ってから帰りました。

作業は、いつもよりむしろ捗りました。

技師をやっていた頃には、まず無かった日です。

装置に入っていない機能は、使えない

私がいた施設のCTは、そこそこ古い装置でした。

学会や勉強会で見た処理、論文で読んだ再構成。やってみたくても、うちの装置にはその機能が入っていません。オプションを足すのも、装置ごと更新するのも、技師が決められることではない。

これは、技師の側ではどうしようもありません。

どれだけ勉強しても、自分にできることの上限は、その施設が何年前に何を買ったかで決まっている。腕の問題ではなく、装置の型番と、予算がついた年の問題です。

装置のせいにしたくなかったので

とはいえ、装置のせいにして終わりにするのは嫌でした。

それでプログラミングを勉強して、G検定を取って、AIまわりの知識をつけました。読影の補助になるものを作って、実際に医師に少しだけ使ってもらったこともあります。医療情報技師も取りました。撮る以外のところで病院に貢献できることはないか、ずっと探していた時期です。

やってよかったと思っています。ただ、それを全部やっても、うちのCTに入っていない機能は、やっぱり入りませんでした。

自分の側でできることを増やしても、動かせない線がある。分かったのはそこでした。

このあたりから、どこでも働けるようになりたい、と思うようになりました。それで、いまはWebエンジニアをやっています。

場所のほうも、法律に書いてありました

この記事を書くのに、久しぶりに診療放射線技師法を開いてみました。

診療放射線技師は、病院又は診療所以外の場所においてその業務を行つてはならない。

診療放射線技師法 第26条第2項(令和7年6月1日施行版)

例外は4つだけです。医師や歯科医師が診察した患者について、その指示を受けて出張し、100万電子ボルト未満のエックス線を照射するとき。多数の人の健診で、胸部エックス線検査(CTは除く)などをするとき。多数の人の健診で、医師や歯科医師の立会いのもとに照射するとき。指示を受けて出張し、超音波などの装置で検査をするとき。

全部、「出張して」か「健診で」の形になっています。例外の側まで、場所が指定されている。

囲いの中に技師と撮影装置があり、囲いの2か所だけが開いて、外の検診車と、ベッドのそばの可搬型装置につながっている図
囲いの中が病院・診療所です。外に出られるのは、健診(上)と、医師の指示を受けた出張(下)の2つだけ。

私が不便だと思っていたのは、うちの施設が特別だったからでも、気のせいでもありませんでした。道具は施設の買い物で決まっていて、場所のほうは条文で決まっていた。技師の側で動かせる範囲は、最初から外側が決まっている仕事だったわけです。勉強して埋められるのは、その内側だけです。

金色の段を積み上げた上に人が立っていて、その頭上に、届かない高さの天井がある図
積み上げた分(金)は自分で決められます。天井のほうは、自分では動かせません。

それでも、と言えるかどうか

ここまで書くと「だから辞めたほうがいい」に読めるかもしれませんが、そうは思っていません。

条文が場所を縛っているのは、患者さんがそこにいるからだと思います。装置も、電源も、遮へいされた部屋も、そこにしかない。人が来て、そこで撮る。持ち出せないのは、仕事の中身がその場所と一体だからで、技師の腕の話ではありません。

いまの私の仕事は、場所を選ばない代わりに、私でなくてもできます。締切を1日ずらしても、誰も困りません。当直で撮った1枚のほうは、その時間にそこにいた人にしか撮れませんでした。どちらが上ということではなくて、性質が正反対だというだけです。

ただ、性質が正反対だからといって、装置の型番で自分の上限が決まることに納得できるかというと、それはまた別の話で。

私は納得できなかったので、内側でできることを一通りやってから、外に出ました。いまもその判断は変えていないですけど。

あなたはどう思いますか

反対意見ほどありがたいです。名前は出しません。

hello@tazume-medflow.jp にメールする
・ 元・診療放射線技師 → 医療系ソフトウェア開発
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