一風変わった試験対策アプリを作っています
過去問の解説を読んでも、分からないことが多かったです。
そもそも、国試に公式の解説はありません。厚生労働省が出しているのは、問題と、正答の番号だけです。つまり世の中にある解説は、全部あとから誰かが書いたものです。
国試アプリの解説も見ました。それでも、私には分かりませんでした。
書いてあることは、たぶん正しいのだと思います。ただ——すでに分かっている人にしか分からない書き方でした。
そうなると、道は2つしかありません。自分で調べるか、答えだけ覚えるか。
私は最初、調べるほうを選びました。教科書に戻って、式の意味を追って、装置の話まで遡って——気がついたら1問に2時間。分かったときは気持ちよかったです。ただ、時間はごっそり溶けました。
そして、続きませんでした。就職活動と並行して、全部をその調子で潰すのは無理です。結局、意味が分からないまま、答えだけ覚えて次へ進むようになりました。
それでも点は取れます。同じ問われ方をするかぎりは。
落とすのは、毛色を変えて出された問題。聞かれていることは同じはずなのに、見た目が変わると手が止まる。
2つの道は、別々の失敗に見えて、入口が同じです。解説を読んで分からなかった、というところから始まっている。分からないから時間が溶けるし、分からないから覚えるしかなくなる。
だから合格ラボでは、問題ではなく解説のほうを作り直しています。
たとえば、この問題です。
![第75回診療放射線技師国家試験 午前 問70。重水素の質量欠損に等価なエネルギー[MeV]に最も近いのはどれか。ただし、中性の重水素原子、陽子、中性子、電子の質量をそれぞれ 2.0141 u、1.0073 u、1.0087 u、0.0005 u とする。また、u は統一原子質量単位で、1 u と等価なエネルギーを 931.5 MeV とする。選択肢は 1. 1.1 / 2. 2.2 / 3. 3.3 / 4. 4.4 / 5. 5.5。](/_next/image?url=%2Fmaking%2Fgokakulab%2F75am70.png&w=3840&q=75)
これに対して、公式が出しているのは答えの番号だけです。

解説というより、分かるまでの道を置いています。
そして、ここが分かると、こっちも解けます。
![第76回診療放射線技師国家試験 午後 問74。核融合反応 D+T→4He+n による核反応のQ値[MeV]に最も近いのはどれか。ただし、それぞれの粒子の静止質量を D は 2.014 Da、T は 3.016 Da、4He は 4.002 Da、n は 1.009 Da とし、統一原子質量単位 1 Da = 930 MeV とする。選択肢は 1. −18 / 2. −5 / 3. 0 / 4. 5 / 5. 18。](/_next/image?url=%2Fmaking%2Fgokakulab%2F76pm74.png&w=3840&q=75)
見た目は別物です。「質量欠損」と「核融合」なので、たぶん別の単元として覚えている人が多いと思います。でも、やることは同じでした。前の合計と、後の合計の差をとって、掛ける(2.014 + 3.016 = 5.030、4.002 + 1.009 = 5.011、差が 0.019。これに 930 を掛けて約 18 MeV)。
使う道具が同じだと分かってしまえば、片方は覚えなくて済みます。
正直に言うと、これを作るのはとても時間がかかります。1問彫るのに何時間も。数を増やすほうが、ずっと楽です。
でも、その時間は、もともと読む人が払うはずだったものです。私が溶かした、あの2時間と同じです。だったら、先にこちらで払っておきたい。
それを私がやっているのは、自分が過去に欲しかったものだからです。あのとき、これがあればよかった。それだけです。
だから、要らないものは置きません。
あれもこれもと足したアプリは、どこへ向かっているのか分からなくなるので。純度を上げる。それが合格ラボでやっていることの全部です。